(09/11/04)
FX「くりっく365」のランド円が謎の暴落
=金融取は正常と主張=
 東京金融取引所が手掛ける外国為替証拠金取引(FX)市場の「くりっく365」で前週末、南アフリカランド・円相場が1分間に一時30%近くも暴落する事態が発生し、業界関係者やネット投資家の間で「何かのミスでは」と関心を集めている。金融取は「正常なレートであり、取り消す予定はない」と主張しつつも、店頭(OTC)FX業者などとのレートからの乖離(かいり)は認めている。公正さを売りに成長してきた同市場だけに、影響は尾を引きそうだ。

 金融取によると、暴落は10月31日土曜日の未明、取引終了直前の1分足らずの間に起きた。それまで1ランド=11.545円前後で取引されていたが、午前4時59分33秒に26.9%下落して8.435円になり、そのまま終了した。しかし、週明け11月2日の午前7時10分に始まった取引では、11.450円と前週末比で35.7%上昇した。

 くりっく365の取引ルールでは、南アランド・円の証拠金基準額は1枚当たり4万5000円。45銭動けば証拠金が吹き飛ぶ計算だ。3円超変動したことで証拠金不足となり、資金追加を業者から催促された投資家もいたようだ。くりっく365の取引データによると、今回の暴落過程で250枚の取引が成立した。

 金融取は「OTC業者の為替レートとの乖離は事実。銀行間レートとも離れているかもしれないが、取引所としては、マーケットメーカー(MM)が出したレートを顧客に提示したもので、システムトラブルではない。正常な結果であり、成立した取引を取り消す考えはない」(広報室)としている。

 ◇制度上の問題点も

 金融取では現在、国内外の大手証券・銀行6社がMMとなり、レートおよび流動性を提供している。

 OTC業者のFXでは、カバー取引先の金融機関からかけ離れた為替レートが提示された場合、「バッドティック」(異常値)として除去し、顧客に提示するケースが一般的だ。くりっく365の場合、そうしたレートの加工処理は行っておらず、ルール上、MMが公正なレートを提示することを求める内部規定はあるが、強制力はない。今回の暴落の背景には、制度上の問題点も垣間見える。

 暴落した要因については、今もって謎だが、あるFX業者は「暴落直前のくりっく365の開示情報を見ると、ランド買いのポジションが積み上がっており、そこを売り手が狙ったのだろう。ポジションが丸見えになる取引所取引は、そもそもFXにはそぐわない」と推測する。その上で「取引所で異常なレートがつくことで、日本の外為市場の信用性が揺らいでしまう」と影響を懸念する。

 元為替ディーラーでFXに詳しい立正大学の林康史教授は「取引所の異常値をめぐっては、巨額訴訟に発展した東証のジェイコム株誤発注問題のような前例もある。金融取は原因を究明し、再発防止のための対策を取ることが必要だ」と指摘している。 (了)

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