(07/05/19)
ファンド規制、米独そっぽ
=市場不安定化招く恐れも―G8財務相会合=
 【ポツダム(ドイツ東部)19日時事】ヘッジファンドの透明性向上策を話し合った主要8カ国(G8)財務相会合は19日、米国とドイツの見解の相違が埋まらないまま閉幕した。具体策をめぐる突っ込んだ議論はできず、両国間のきしみが再び表面化。主要国が政策協調で足並みを乱せば、逆に金融市場の不安定化を招きかねない。

◆「イナゴ」への警戒感
 ドイツは今年、G8議長国として、ヘッジファンドの監視強化を一貫して主張してきた。背景には、資金力に物を言わせるファンドへのドイツ特有の価値観がある。
 2年前、ロンドン証券取引所の買収をドイツ取引所が提案した際、大株主の英ヘッジファンドは提案撤回を要求。逆に大幅な増配を求め、取引所首脳を辞任に追い込んだ。これを機にドイツではファンドに対する警戒感が一気に高まった。
 当時の政権与党首脳は「よそ者」のヘッジファンドの強欲ぶりを指して「イナゴ」と表現。その後、イナゴは同国でファンドの代名詞となった。日本の財務省幹部も、ドイツのかたくなな姿勢について「ファンドを海外から来た怪しいものと受け止める国内事情がある」と話す。

◆2回連続で閣僚欠席
 ドイツが資産内容開示などヘッジファンド規制の導入を表明したのは、2月に同国エッセンで開かれた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)だ。しかし、米国や英国は「ヘッジファンドは市場の効率性に貢献している」(ポールソン米財務長官)と強く反論し、合意は見送られた。
 再協議の場は4月のワシントンG7だったが、シュタインブリュック独財務相は「家族との旅行」を理由に欠席。3度目の正直となるはずの今回のG8財務相会合は、一方の主役のポールソン長官が「多忙で」不参加を表明し、議論は最後まで盛り上がりを欠いた。

◆試される協調体制
 ドイツは今回の会合で、ヘッジファンドの透明性向上を狙った業界自主ルールの策定を求め、協議の継続を訴えた。ところが、米英ばかりか、次期G8議長国の日本からも「市場メカニズムが大事」(尾身幸次財務相)と一蹴(いっしゅう)される始末だった。
 ある英国系ヘッジファンド関係者は「われわれは主要国の協調体制にほころびが出るすきを狙う」と話す。6月上旬の独ハイリゲンダム・サミット(主要国首脳会議)でもヘッジファンドは再び議題となるが、英国やフランスでは新政権が誕生。来年は米大統領選挙の年だ。世界経済が政治的な不安定期を迎える中、G8はヘッジファンドに狙われない政策協調の維持を試される。(了)

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